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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

だが、相手が相当の曲者だと見て取った捕方は、陣容を立て直して取詰めて来る気合が、ありありとわかる。

「野郎!」

時分はよしと、真正面から十手をかざして打込んで来たが、

「カツン」

手ごたえはあったが、

「あっ!」

その十手が高く中空を舞って飛び上るのを見ると共に、人と人とが地上でふたたび巴に引組んで転がるのを認めました。

「手向いするか」

二つの身体は再びもつれ合ったが、それも長いことではない、今度は米友の方が、鎌鼬のように後ろへ走り出しました。

逃げたのです――だが、それを捕手が追わない。地上に倒れて起きない。

「うむ――」

それは、残念無念、取逃がしたといううめきだかどうだかわからないが、現在、曲者と見かけた奴に後ろへ走られて、それを透かさず追いかけることができないのだから、何か身体に相当の故障が起きたものと見てよろしい。唯一の武器としての十手は、その押しかかった瞬間にはね飛ばされてしまったことは確実で、そうして素手で向った相手の曲者に、すり抜けられてしまったことも現実の通りです。

一方、宇治山田の米友は、身にふりかかる火の子を払うつもりで打払ったが、その払い方が手練の払い方でしたから、先方唯一の武器を中天遥かにハネ飛ばしてしまったことは、この男としては相当の技倆です。