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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 頁

青空文庫

こいつは一番、不破さんにからかわれたかな。関守先生、あれでなかなか業師だから、何か所存あって、がんりきめを囮に使いたいために、わざわざこんなところへ反間の手を食ったかな。だが、タカの知れたこのヤクザ野郎を、かついでみたところではじまらねえ話さ。よしんば、かつがれたところでおれはいいが、この同行の兄さんに気の毒だ。昨日から重い荷物をかつぎ通し、これが自分のものになるじゃなし、あっちへかつぎ、こっちへかつぎ、いいかげん御苦労さま――という気持で、思わず米友を見返ったが、その途端、それそれ、この金袋が物を言うよ、不破さんがおっしゃるだけじゃねえ、この金袋が物を言う、こいつも洛北岩倉村を目にかけて来たお金だ、すいきょうで大金を餅につく奴もあるめえじゃねえか、事は正真いつわり無し。

金の袋を見てまた巻直しという心で、この屋敷の裏手へ廻ったが、やっぱり何となしにドキつく。水を汲んでいる姉さんに、そっと物をたずねて――

「姉や、この屋敷はいったい、どなたのお屋敷なんだエ」

そうすると、大原女が答えて言うには、

「岩倉三位さんのお邸どすえ」

「岩倉三位――中納言様とは違いますかねえ」