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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 頁
七
玉蕉女史は、事実の非常に奇なる物語を、やさしい物言いで、たくみに語り聞かせるものですから、白雲も膝の進むのを覚えませんでした。
朝鮮陣の物語から、話題一転して、ここは伊勢の国、藤堂家の城下の舞台となる。玉蕉女史は、々として次の如く物語を加えました、
「御承知の通り、伊勢の国は、大神宮参拝の諸国人の群がる土地でございます、それだけに土地に、他国人を相手に悪い風儀も多少ございまして、藤堂家の家中のさむらいにも、折々、通りがかりの旅人に難題を吹きかけ、喧嘩を売り、相手を困らせて置いて一方からなれ合いの仲裁役を出し、そうしてどうやら事を納めたようにして酒手をせびる――というような風の悪い武家が無いではなかったそうでございますが、いずれも遠国の旅人ゆえ、相手が怖がって、無理を通したというようなわけでございましたが、藤堂家からはお隣りの、大垣藩の戸田家の方々がそれを聞いて苦々しいことに思いました。これはひとつ遠国旅人の迷惑のために、最寄りのわが藩中に於て目附役を買って出て、藤堂の悪武士の目に物見せて置いてやるべき義務がある、こんなように思いまして、戸田家の剣道指南役のなにがしという方が、わざと入念の田舎武士風によそおって、伊勢詣りを致すと、案の如く、藤堂家の悪ざむらいにひっかかりましたものですから