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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 頁
松島の宿に着いたお松も、わからない心持でいっぱいです。ただ当分、七兵衛おじさんのためにこっそりと食物を運んであげる役目――宵々毎に瑞巌寺の臥竜梅のうつろへ、その使命だけを固く心にかけましたが、それにしてもどうもなんだか、牢屋へ入れられている人に差入物にでも行くような気持がして――愚図愚図していれば、七兵衛おじさんはお仕置に会って斬られでもしてしまうのではないか知ら、というような不安が、何とはなしにこみ上げて来るのです。
白雲はその翌日から、瑞巌寺へ日参して絵を描くことになったのは幸い――そうしてその夕暮、お松は絵の先生を迎えに行くふりをして、臥竜梅のうつろの使命の第一日を首尾よく果しました。
十六
これとほぼ時を同じうして、仙台の町奉行丹野元之丞が、何か感ずるところあって、仲間一人を連れて不意に、古城の牢屋を見廻りに来ました。
「兵助、兵助、兵助はいるか」
「はい、お呼びなさるのは、どなたでございます」
「丹野じゃ」
「これはこれは、お奉行様」
牢名主兵助が、立って戸前のところまで来ました。
元之丞が、
「兵助――無事か」
「はい、おかげさまで、無事すぎるほど無事でございます」