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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
それとも悪魔はよく児童をとらえたがる――鼠取りの姿を仮りて、笛の音でハメリンの町の子を誘い、それを悉くヴェゼルの河の中に落して溺れ死なしたこともある。天の一方に悪魔があって、無限に茂太郎を誘引するのかも知れない。
果して、その日、晩餐の席に、駒井の家には、新たに外来の漂泊の愛嬌者の来客を一人迎えたけれど――同時に、いつもいて食卓を賑わす一個の同人を失いました。
迎えたのは、申すまでもなくマドロス氏、失うたのは、清澄の茂太郎。
その席で、駒井は、幾度か茂太郎の身の上を心配したけれど、岡本兵部の娘は、一向それを苦にしない。
「あの子は、帰りますよ」
この娘は、深山と、幽谷と、海浜と、人なきところを好む茂太郎を知っている。
山に行けば、悪獣とも親しみ、海に入れば、文字通りに魚介を友として怖れないことを知っている。茂太郎の不安は、繁昌と、人気と、淫靡と、喧噪の室内に置くことで、山海と曠野に放し置くことの、絶対に安全なのを知っている。
さればこそ、さいぜんも、まっしぐらに砂浜を走る茂太郎を後ろから、最初のうちは呼んでみたけれども、ほどなくあきらめて、そのなすがままに任せてしまった。