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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

と仏頂寺が言い出したので、亭主がハッとしました。

これはよけいなことをしゃべり過ぎた。呼びに行ったって来るはずはない。来ない、といったところでこの連中、そうかと引込む人柄ではない。

言わでものことを口走ってしまったと、亭主が後難の種を、自分でまいたように怖れ出したのも無理はありません。

しかし、この亭主の心配も取越し苦労で、仏頂寺、丸山の両人は、酒を飲んでいるうちに、いつしか芸者のことは忘れて、酒興に乗じて、何と相談がまとまったか、やがて、あわただしくここを出立ということになりました。

二人の相談によると、急に長野方面に立つことになったらしい。

この連中、思い立つことも早いが、出立も早い。早くも、旅装をととのえ、勘定を払って宿を出てしまいました。

だから、宿の主人はホッとして、第二の後難を免れたように思います。

これら二人の行方は、問題とするに足りない。問題としたって、方寸の通りに行動するものではない。

長野へ行くといって木曾へ行くか、上田へ廻るか、知れたものではない。

だが、こうして、宇津木兵馬も去り、仏頂寺、丸山も去った後の宿に、椿事が一つ持ちあがりました。