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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「お休みでございますか」

「いいえ、起きていますよ」

「御免下さいまし」

お雪は障子を引開けて中へ入りました。ここは松の間というけれども、実は源氏の間とでもいった方がふさわしいのでしょう、十余畳も敷けるかなり広い一間ですが、その襖の腰にはいっぱいに源氏香が散らしてある。

「めっきり、お寒くなりました」

「寒くなったね」

室の主というのは机竜之助であります。竜之助も同じような丹前を羽織って、片肱を炬燵の上に置いて、頬杖をしながら、こちらを向いて、かしこまっておりました。

何を考えるでもなし、考えないでもなし、白骨の湯にさらされて、本来蒼白そのものの面が、いっそう蒼白に冴えているようなものだが、思いなしか、その白い冴えた面に、このごろは光沢というほどでもないが、一脈の堅実が動いていると見れば見られるでしょう。例の五分月代も、相当に手入れが届いて、底知れず沈んでいること、死の面影のようにやつれていることは、以前に少しも変らないが、どこかにかがやかしい色が無いではない。

お雪ちゃんは、前へ廻って、そっと炬燵のふとんを開いて手を入れてみて、

「まあ、先生、すっかり火が消えてしまっているじゃありませんか、お呼び下さればいいのに」