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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
一町半ほど、そうして歩いたところで、やむなく兵馬は後ろを顧みてみました。
そこには誰もいない。
月夜で、見通しの利く限り、その一町半の間には紆余曲折も無かったところに、女の影が見えません。
あっ! と兵馬は面の色をかえました。今ここで面の色をかえるくらいなら、最初から、あんなつれない真似をする必要は無かったではないか――
六
呼びかけると思った女が、呼びかけません。追従し来ると思った人が、追従して来ないのみならず、影と、形とが、見ゆべきところから消え去っています。
この案外には、兵馬が手脚を着くるところなきほどに惑乱しました。
われに追従して来なければどこへ行く――この場合、その方向転換の目的が、人の身として考えても、自分に比べて考えても、皆目わからないのであります。
行くところの道を失えば、当然、その帰結は自暴のほかにありません。
自暴――女にとって、その恐るべきことは、破滅を恐れないのでわかります。しかし、その点は心配するほどのものはあるまい、処女ではないのだから。処女でないのみならず、商売人なのだから。自暴のために身をあやまる時代はすでに過ぎている。