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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
そうしたものかと考えていると、神主はすらすらと読み続けて、その宏大なる家の構えぶりに抑揚をつける。
「四面四方に築墻をつき、三方に門を立て、東西南北に池を掘り、島を築き、松杉を植ゑ、島より陸地へ反橋をかけ、勾欄に擬宝珠を磨き、誠に結構世に越えたり、十二間の遠侍、九間の渡廊、釣殿、梅の壺、桐壺、まがき壺に至るまで、百種の花を植ゑ、守殿十二間につくり、檜皮葺にふかせ、錦を以て天井を張り、桁、梁、木の組入には、白銀黄金を金物に打ち、瓔珞の御簾をかけ、厩、侍所に至るまで……」
これは大変なものだ、と兵馬が思いました。
なるほど名こそ物臭太郎だが、この住居の結構は藤原時代で、三公を凌ぐものだ、なるほどと、兵馬が深く思い入れをした様子を見て神主は、ちょっと朗読を中絶して、
「大したものでござんしょう、これでは平安朝時代、藤原氏全盛の頃の並びなき公卿さんのお住居です、物臭太郎が、こういった宏大な家に住んでいたと思うと不思議でございましょうが、まあ、もう少しこの先をお聞き下さい、いいですか」
「厩、遠侍に至るまで、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思へども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞゐたりける」