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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
「辻取り」というのは、初めて聞いた。
刀には「辻斬り」というのがある。柔術には「辻投げ」というのがある。ならば「辻取り」というのもあってよかろうはず。いや、その物語によれば、辻取りは、辻斬りや、辻投げの流行せしずっと以前に行われていたはず。
結婚は、ついに掠奪であるというような思想が、兵馬の頭をかすめた時に、かれは浅ましい思いをする。物臭太郎の場合は、それが無邪気に実行されたのみだが――歴史は無邪気のみを教えない。
兵馬の頭が、奪われたる女ということに向う。「辻取り」は今の世、今の時にも行われる。現に、たった今、その災難に逢ったのは自分ではないか。
奪われた心。奪われたのではない、いわば厄介払いをしたのだが、なんとなく安からぬ心を、如何ともすることができない。
人もあろうに仏頂寺、丸山のやからに、むざむざと一人の女性を渡してやったその不安。
日が高くなるほどに、兵馬にはその不安がこみ上げて来る。
ついに決心して、自分はそのあとを追わねばならぬ、追いかけて、二人の手からあの女を取り戻して……取り戻さないまでも、あの女の先途を見届けてやらねばならぬ。