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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「なるほど」

再び、がんりきの傍へ寄って来て、その棒縛りの縄目を解きにかかったお角は、

「ほんとに冗談じゃないよ、このザマはこりゃ何だい。駿河の徳間峠にしてからが、甲州の猿橋の時にしてからが、覚えがありそうなもんじゃないか、ちっとは、あきらめがつきそうなもんじゃないか、世話の焼けた野郎じゃないか」

「済まねえ……」

「済むも、済まないも、わたしの知ったことじゃないよ」

「かまわねえから、ほっといてくれ」

「かまおうと、かまうまいと、お前の差図は受けない」

と言いながら、お角は、とうとうがんりきの縄目を解いてしまいました。

縄目を解かれても、この野郎は、もうかなり弱っているから、ちょっとは身動きもできないでいる。

「てんぼうの裸身なんぞは、誰が見たって、あんまり見いいものじゃないよ」

といって、お角は、若い衆に手伝わせて、この野郎に、襦袢から着物を片腕に通してやり、帯を締めさせてやり、その醜体だけは、どうやら応急修理が出来てみると、がんりきの野郎が、

「水、水を一ぺえ、振舞ってもらいてえんだが、水でいけなければ、梅干を一つ……」

「食い意地の張ってる野郎だよ」

といって、お角がムキになって、がんりきの横面を一つ、ピシャリとなぐりました。