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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

小さな獣が一つ、乱離とした卒塔婆と、石塔との間に、うずくまっているのを認めたものですから、茂太郎は、

「来い、来い」

と小手招きすると、その獣は、ニャオと鳴いてあちらへ行ってしまいます。

「なんだ、猫か」

さしもの茂太郎が、暫く呆れ返ってしまいました。

その有様は、猫こそ軽蔑すべき動物だ! とさげすみの色に見送る体です。

事実、茂太郎は、猛獣毒蛇にも及ぼす魅力を信じているのですから、いかなる禽獣ともお友達づきあいができるものと、保証をしているのに、ただ一つ、度し難い動物に猫がある。あらゆる動物のうちに、猫だけがいけない。あいつに表情がない、愛嬌が無い、おだてが利かない、感激が無い――芸術がまるっきりわからない。猜疑のくせに柔媚がある。犬は三日養わるれば忘れないが、猫は三年養われても三日で忘れる。

鶏は餌をその友に頒つことを知っているが、猫に物を与えて見給え、何物をおしのけてもあがき食わんとする。時としては自分の産んだ児をすら、むしゃむしゃと食ってしまう。

猫の可愛ゆいのは子供の間だけのものだ。その成猫した横着な、取りすました、そのくせ怯懦にして、安逸を好み、日当りとこたつだけになじみたがる――そうして最後には、ただ化けて来ることだけを知っている。