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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「それよりか、お前さん、この浜で十歳ぐらいになる男の子を一人見なくって、清澄の茂太郎といって、可愛らしい子なのよ、そうして歌をうたうのが上手な子供」

「知らねえ、そんな子供を見るどころの話か」

海竜の恐怖で唇をふるわせるだけで、こうしていることさえが不安でたまらないらしく、兵部の娘にもその恐怖を移して、警戒を試みようとするのを、兵部の娘は落着き払って、

「あら、ここに足あとがあるわ」

すり抜けて先へすすみました。

十五

それとは知らず、駒井甚三郎と田山白雲とは、食堂の卓子を中にはさんで、しきりに会話の興が乗っておりました。

マドロス氏はいかにと見れば、室の一隅の横椅子に背をもたせかけて、いびきを立て、仮睡しているところはたあいないものです。

駒井と、田山との会話が、しきりにはずむといううちにも、ほとんど駒井の諄々たる説明を、田山が頻りにうなずきながら聴取しているといった方がよいでしょう。

駒井の語るところは、海に関する物語でありました。海に関する物語につれて、当然、船と、魚とのことに進んでいるようです。

「そういうわけで、北緯五十度というところが日本の国境なんですが、それは寒い、冬になると氷と雪とが全く道をうずめて、人馬の往来はなり難いのです。