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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
「あ、そうだね」
そこで、与八は首の縄へ手をかけてグイと引張ると、縄は素直に外れる。その素直に外れた縄を一方に置き、また三杯目の茶を注いで七兵衛にすすめました。
「若い衆さん、お前さん、幾つにおなりなさる」
「わしかね、わしゃ十九でござんすよ」
「いいかっぷくだね」
「ええ……」
「力があるだろうなあ」
「ええ……」
「お相撲さんにしても立派なもんだ。お前さん知っていなさるかどうか、この向うの檜原の大岳山の麓に、昔おっそろしい力の強い若い衆があってね、なんでも三十人力あって、村々で人足を出し合う時には、その若いのが一人で、三十人分に通用したという話が残っていますよ。ところが、その男が、その三十人力の力が出て働けるのは、大岳山の頭が見えるところだけに限ったもので、大岳山の頭が見えなくなるところへ行くと、げっそりと力が減っちまうんだっていうことを聞きました。お前さんも三十人力はありそうだね」
「そんなにありゃしませんよ」
物騒な犬の吠え声から、首に縄を捲かれるまでの危険千万な光景が、いい気の、秋の夜の炉辺の茶話になってしまいました。
「お前さん、生れはどこだね」
七兵衛もこうなると、好々人の、百姓親爺のほかの何者でもありません。