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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
であります。
そこで、この機会にひとつ、彼を出し抜いて、思う存分にわがままを働いてみたいものだという謀叛気が、道庵の心の中で起りました。これは道庵として無理のないところがあるかも知れません。
「まあ、いいや、どのみち、馬が西へ向けば尾が東、ということになるんだから、落ちつくところは上方よ、かまわず馬をやってくんな、後は後でどうにかなりまさあ」
といって、道庵はそのまま馬を進めさせてしまいました。
一方、特別注文の熊胆を取りに走せ戻った宇治山田の米友は、店へ寄って、その使命のほどを伝えて、薬物の取出しを待っている間に、その家の軒に檻があって、その中に大きな熊のいるのを認めて、思わずそれに近寄ると、ついつい見とれてしまいました。
「木曾路には、獣類の皮をあきなふ店多し、別して贄川より本山までの間多く、また往来の人に、熊胆を売らんとて勧むる者多し、油断すべからず」
と木曾名所図絵にも書いてある。その獣皮屋が、生きた大熊を、店の前の檻に入れて看板に出している。
それを米友は見とれているのであります。
二十八
米友は、貪るような目を据えて、熊を見つめておりました。