輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
尾張名古屋に乗込むことに相定めました。
三十
どこから来るともなく、真暗いところの真中で、弁信法師の声、
「モシ、お嬢様――」
と呼んで、暫く休みました。
ここで、弁信がお嬢様と呼んだのは、それはお銀様のことでしょう。しかし、ここにはお嬢様の姿も見えないし、暫く待ってみても、その返事がないのですから、おそらくこの近いところに、呼びかけた当人はいないにきまっております。しかし、また、呼びかけた当人がいても、いなくても、弁信は、ふとその頭に上り来ったほどの人は、かたわらに在るが如く呼びかけるの習わしは、今に始まったことではありません。
「モシ、お嬢様、あなたはまた、何かおむつかりになっておいでになりますね、お腹立になっておいででございましょう、あなたが、烈しい憤怒の念に駆られておいでになる有様が、私の前に、手に取るように浮んでいるのでございます――」
こういって弁信法師は、真暗い野原の中に耳を傾けて、また暫くは無言でおりました。別段、返事を期待しているとも見えないが、何か心には期するところがあるにはあるもののようです。
第一、ここは白根三山の麓、平野のまっただなかであるか、或いは平野と同じほどに広い藤原の庭内であるか、それすらもよくわかりません。