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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

きょう、富士が一尺伸びると、あすは八ヶ岳が一尺伸びている。

この両個は毎日、頭から湯気を出して――これは形容ではない、文字通り、その時は湯気を出していたのでしょう――高さにおいての競争で際限がない。

そうして、下界の人に向って、両者は同じように言う、

「どうだ、おれの方が高かろう」

けれども、当時の下界の人には、どちらがどのくらい高いのかわからない。わからせようとしても、その日その日に伸びてゆく背丈の問題だから、手のつけようがない。

そこで、下界の人は、両者の、無制限の競争を見て笑い出した。

「毎日毎日、あんなに伸びていって、しまいにはどうするつもりだろう」

富士も、八ヶ岳も、その競争に力瘤を入れながら、同時に、無制限が無意味を意味することを悟りかけている。さりとて、競争の中止は、まず中止した者に劣敗の名が来る怖れから、かれらは無意味と悟り、愚劣と知りながら、その無制限の競争をつづけている。

ある時のこと、毎日晨朝諸々の定に入り、六道に遊化するという大菩薩が、この峰――今でいう大菩薩の峰――の上に一休みしたことがある。

その姿を見かけると、富士と、八ヶ岳とが、諸声で大菩薩に呼びかけて言うことには、