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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「忠どん、人に戦争をさせておいて、自分で丸儲けをしようなんていうのは、泥棒よりボロい商売だぜ」

と言ってみたが、七兵衛も、われながらマズい半畳だと思いました。

「ナーニ、おじさん、戦争をする人は、戦争をするように出来ている。金儲けをする者は、するような仕組みでするんだから、ちっとも恥かしいことはないさ。泥棒なんざあ、お前さん、馬鹿のする仕事さ、人に隠れて、コッソリとやって、見つかれば首が飛ぶ、それでいくら儲かるもんだ、泥棒のかせぎ高なんて、知れたもんじゃないか」

「ふふん……」

と七兵衛が、それを聞いてそらうそぶきました。しかし、何とも二の句をつぐ気にならないで、テレ隠しに摺付木をすりました。

なるほど、泥棒は人のものをただ取る稼業だが、そのかせぎ高は知れたものだ。そうしてその運命も知れたものだ。

しかるにこの小僧は、人に戦争をさせておいて、自分は重宝がられながら大儲けをしようとする。いつもながら、こいつの言うことだけでも、人を呑んでかかっているのが、返す返すもしゃくだ。いったいこんな奴が成功したら何になるのだ。ただ口前ばかりではない、着々として、そろばんに当る仕事をしているのだから、いよいよ癪だ。