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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

いったい、山岳にでも登ろうとするほどの人は、もっと、気象高大に出来ていそうなものだが、クダらない通人もあるものだ、と思いました。

それから、話があぶみ小屋の神主のことになると、山の通人が、それをもセセラ笑って、

「何ですって、神主様が行をしていて、乗鞍の山へ平気で往復する――そんなことがあるものか、それは嘘だろう」

「いいえ、嘘ではありませんよ」

「神主様というものは、そんな行をするもんじゃない――それは修行者だろう。いったい、神主サンは高山に登らないものだよ」

山の通人は、眼中人なきが如くに一座を見廻して、とりすましました。

一座の中には、万葉学者の池田良斎先生もいれば、その他、多少の教養もあり、山の知識経験を持っているものもあるのですが、この博識ぶった山の通人は、天下に山のことを心得たものはおれ一人、という気位を見せたものですから、一座の中から、

「ヘエ、神主サンというものは、高山へ登らないものですかね?」

と、眠そうな声で、念を押したものがありました。

「左様、神主サンというものは、高山へ登らないものだ」

山の通人が、いよいよそっくり返ったのは、相変らず出来星の博士が、小学校の生徒を相手にするような態度でありました。