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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「それでもお聞きした覚えがございませんもの」

「たしかに話して上げたはずなのを、お前さんが忘れてしまったのだろう」

「そうでしたか知ら……」

お雪が無邪気に首をかしげた時に、北原賢次が三度四度、呆気にとられてしまいました。

賢次は眼を円くして、なんだかかだかわからないような気配で、お雪と竜之助の方を、かなりの距離のあるところを、忙がわしく眼を急転させて、言句がつげないような有様です。

陪席を仰せつかっている村田も、どうも板につかないような気持に堪えられません。

そこで、この両室の空気がいやに変なものになってしまったのを、竜之助は眼が悪いから見て取るわけにはいくまいが、お雪ちゃんという子が、そのままはいられないからとりつくろう気になって、

「上方の方では、しょっちゅう、いくさばかりしているんですってね」

と言いますと、

「しょっちゅうというほどでもありませんがね」

と北原が答えました。

「いやですね、いくさなんて」

「戦も、時と場合によりけりでね、大義名分のために戦わなければならぬこともありますからな」

「戦をしないでも、何とか話合いがつきそうなものじゃありませんか」