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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

その翌日は雨だものでしたから、駒井は、造船の方へ行かずして、一室に閉じ籠ってしまいました。

四十

駒井甚三郎はその翌朝、兵部の娘の寝室まで来て、

「どうです、加減が悪いということだが」

「はい、御免下さいまし」

寝台の上に寝ていた兵部の娘は、駒井の来訪に恥かしがって、起き直ろうとするのを、

「そうしておいでなさい」

傍らの椅子に腰を下ろすと、

「なんだか、少し寒気がしてたまらないものですから、あの子にお言伝を頼んで、寝つづけにしております」

「それはいけない、昨夜のことが祟ったのだ」

と、駒井は慰めるつもりで、そう言ったが、それを言ううちに、一種の不快な気分を如何ともすることができません。

「そんなこともありますまいけれど……」

と答えて目をそらした娘の言葉も、冴えない。

「ゆっくりお寝みなさい、何か薬をさがして上げましょう」

「有難うございます」

しとやかなお礼の言葉。

駒井は、この女が、もはや全く平常の心持を取返しているということを、この時も、つくづくと思わされます。

かつての昔のような狂態は、少しも見ることはできない。しとやかな、恥を知ることの多い処女性の多分を認めるほど、かえって昨夜の変事が無惨でたまらない。