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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「わしは、裏宿の七兵衛といえばわかります、ないしょで言って下さい、わしの名は、なるべく小さい声でお松さんの耳へ入れて下さいよ」

「はい」

ここで、七兵衛は再び斧を取り上げて、薪のこなしにとりかかりました。

与八は、犬を引きつれて、帰り路に向います。この時まで、七兵衛を見まもっていたムク犬は、全く無事に与八について引上げる。その人と犬との後ろ影を、七兵衛は、いったん取り上げた斧を下におろして、じっとながめていること久しいものでありました。

六十二

果して、その翌朝、まだ暗いうちに七兵衛が、沢井までお松をたずねて来ました。

「まあ、おじさん」

こんな近いところにいながら、お松は、七兵衛に会うの機会が極めて少ないことでありましたから、無上の珍客として、なつかしい思いが先に立つのです。

「御無事で結構だね、お松さん、このごろどこへ行っても大へん評判がいい」

「ほんとに、おじさん、暫くでございました、青梅の方へ通りがかりの時、おたずねしてみたのですけれど、お留守だものでしたから、つい失礼いたしました」

「いや、わしの方もこれで貧乏暇なしなもんですから、つい……昨日、ふと与八さんに逢ったものだから、急にその気になって出かけて来ましたよ」