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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

ところが、弁信がいっこう気乗りがしないようでしたから、ピグミーが、また何かハズミをつけてやらないことには、手持無沙汰でたまらないはめとなって、

「ねえ、弁信さん、今までお前、何を聞いていたの」

「尺八を聞いておりましたよ」

「へえ、おいらにはいっこうそんなものは聞えなかったが、どこで、誰が吹いていたんだい」

「信濃の国の、白骨の温泉で、尺八を吹いているのが、いま私の耳に聞えました」

「じょ、じょうだんじゃねえ!」

ピグミーが反っくり返ってしまいました。

「弁信さん、お前、ここをどこだと思ってるんだい――信濃の国というのは、これから一百里も離れているんだぜ、なんぼお前の勘がいいからといって、信濃の白骨で吹く尺八が、お前の耳に聞えるはずはあるめえ。でも、お前のことだから何とも知れねえ。そうして、その尺八は何を吹いていたんだい、それを聞かしてもらいてえ」

「鈴慕の曲を吹いていたのですよ」

「鈴慕の曲というのは、どんなんだい、面白かったかい」

「ええ、ずいぶん感心を致しましたよ、今までに覚えのないほど、感じてしまいました」

「そうかね、お前がそれほど感心するくらいならずいぶん面白かったろう。