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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
としてここまで出向いて来たのかと、ちょっと想像も働くが、それにしても二人の落ちつき加減は、駆落者を追ったり、追われたりする空気ではない。
そうして、おのおの談論を交わしながら馬を進めて行くうち、駒井が、ちょっと手綱を控えて、海岸の一点を見つめました。
さては、また例の平沙の浦のいたずらな波がするすさびのように、女軽業の親方の身体をでも、そっと持って来て、その辺の砂場へ捨てたのか、そうでなければ、またジャガタラ芋の一俵もころがっているのか。
駒井は、早くも馬からヒラリと飛び下りて、波打際に小走りに走って行ったものですから、田山が眼を円くしていると、駒井の拾い取ったのは女軽業の親方でもなければ、ジャガタラ芋の根塊でもありません――それは通常のビール罎一本です。ビール罎の上に赤く十の字が書いてある。通常のビール罎とは言いながら、その時代においては、ビール罎は、決してありふれたものではありません。
けだし、日本に於ては、英国人コブランという者が、明治の初年、横浜にビールの醸造所を設けたくらいですから、その以前に入って来ているには相違ない。その道の人は、相当に味を知っているに相違ないから、自然ビール罎なるものも、一部の方面においては、そう珍奇な物ではなかろうが、田山白雲には目新しいものでありました。