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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

ような面ぶればかりですから、穏かです。

その時分、日もようやく傾きはじめて、海の方へ落ちた余光が、あざやかに、この古陣屋の屋根の上の兵隊草をまで照らして来ました。

陣屋の中では、車大工とその数人の弟子たちであろうところの者が、静まり返って仕事をしている時分、門の外に佇んでいた近隣の人たちが、

「そら、お役人様が来たぞ」

「お役人様じゃ無え、やっぱり、あの毛唐人の仲間らしいよ」

二騎轡を並べてこの場へ来合わせたのが、駒井甚三郎と田山白雲です。

こんな面ぶれが相前後して、こんなところへ事々しく集まって来たという理由は、ふとした聞きかけが最初でありました。

これより先、駒井甚三郎が、このたびの造船に当って、何物よりも苦心しているのは、蒸気機関の製造であったことは、前に申した通りです。

他の部分は、ほとんど完全に設計が出来、順調に工事も進行し、大砲の据附けでさえが、駒井の知識と、技能を以て、立派に完成の見込みがついたのにかかわらず、蒸気機関だけは苦心惨憺を重ねて、未だその曙光を見ないという有様であります。

これは、その当時の日本としては、全く不可能のことであり、駒井が不可能ならば、無論、日本の国のどこへ持って行っても、可能のはずがないことは、何人よりも、当人自身が熟知しているところです。