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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

不興極まる気色を以て、遠眼鏡を外し、部下の者を顧みて、

「おい、あれは何だ」

と一人に言いました。

「左様でござります」

部下の一人は、一応その人だかりの方をながめてから恐る恐る、

「高崎藩の手の者が、黒船を引揚げるといって騒いでおりました」

「ナニ、高崎藩で黒船を引揚げる?」

「左様でございます、先年、あの黒灰浦に、多分オロシャのであろうところの密猟船が吹きつけられて、一艘沈んでしまいました、密猟船のこと故に、船を沈めてそのままで立去りましたのが、今でもよく土地の者の問題になります、それを今度、高崎藩が引揚げに着手するという噂を承りましたが、多分その騒ぎであろうと思います……」

「怪しからん……」

組頭は最初から機嫌を損じておりましたが、いよいよ面を険しくして、再び遠眼鏡を取り上げ、

「よく見て来給え、何の目的でああいうことをやり出したのか、屹度問いただして来給え、次第によっては、その責任者をこれへ同道してもよろしい」

この命令の下に、早くも軽快なのが二人、飛び出して行きました。

組頭が不興な色を見せるのみならず、一隊の者が残らずそれに共鳴して、岩角の上から黒灰の浦を睨めている。