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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

とお雪ちゃんが、まだ立ちながらの半身で言う。米友はそれに答えました。

「おいらよりか、お前はどこへ寝むんだ」

「わたし」

とお雪ちゃんは、あんまりわるびれずに、

「わたしは、あちらで、先生のお傍へ寝ませていただきましょう――その方が、何かにつけて……」

「うむ」

と米友は火箸をいじりながら頷いて、

「おいらは、ここでいい」

「では、ここへお蒲団をこうして置きますから、友さんの好きなところへお寝みなさいな」

「うむ」

「先生、こちらへいらっしゃい」

お雪ちゃんはするすると歩いて来て竜之助の手をとって、抱えるようにして奥の座敷の方へ、畳ざわり静かに歩んで行くのです。

無論、その時には、竜之助の方は面も一通り撫で終って、剃刀も手さぐりで箱の中に納めてしまい、軽く立ち上ると、一方の手はお雪ちゃんに与えて、そうして、一方では刀を提げて、するすると奥の間の方へ消えて行ってしまいました。

あとを見送った米友は、ふーむと一つ深く鼻息を鳴らして、そうして、そこはかとなく四辺を見廻したものです。

さきほどまでの、先へ寝むの寝まないのという仁義と遠慮とが、ここでは全く問題になりませんでした。