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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
お君ぁ、君公は子供のうちから綺麗な子だった。みんなが振返ったなあ。あいつが――あいつもお前、母親はわかってるんだが、父親というのはいったいドコの何者だかわからねえんだぜ――おいらとの間はまあ兄妹みたいなもんだが、本当は兄妹より上なんだぜ。子供のうちぁ、ふたり一緒に抱き合って藁の中へ寝て育ったんだ。子供のうちじゃあねえや、いい年になるまで――あいつが十の幾つか上になった時分に、
「もう友さん、二人で一緒に寝るのをよしましょうよ、人が笑うからさ」
とあいつが言ったから、おいら、
「うむ、寝たくなけりゃ、寝んなよ」
と言って、それっきり、二人は別々に寝るようになったんだが――いま考えてみると――米友は、何かしきりに意気込んで、眼に一種異様の光を帯びてきましたが、じっとしているうちに、涙が連々として頬に伝わるのを見ました。
「あの時分のように、藁ん中で、もう一ぺん君公を抱いて寝てやりてえ」
今度は米友が、うわごとのように言いつづけました。
「育たなけりゃいいんだ、人間てやつは、いつまでも餓鬼でいさえすりゃ、男が女を抱いて寝たって、女が男に抱かれて寝たって、何ともありゃしねえんだ――人間は育ちやがるから始末が悪い」