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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

「それは、それは――」

「それから、こうして今日まで、後家の手一つで育て上げはいたしましたが、後家ッ子だからと人に笑われるのは残念でございますし、それに、田舎に置きましては、武士の行儀作法をも覚えさせることはできませんから、思い切って連れて参りました。父の弾正さえ生きておりますれば、わたくしがこうして引廻さなくもよろしいのでございますが……」

「ははあ、そなたのお連合い、そのお子さんの父親も弾正と申されましたか。実は拙者の父も同じ名を名乗っておりました」

「さようでござりましたか、それは、どうやらお懐かしいことでございます。なんにいたしましても、男の子は男親につけませんと、母親ばかりではどうしても躾が足りません、それにあなた、この子がそう申してはなんでござりますが、生れつき心が優しく、武勇の気が強いのでござりまして、親の慾目とお笑いになるかも知れませんが、わたくしとしては相当に見込みをつけたのでござりました」

「ははあ――」

「わが子を賞めるは馬鹿のうちと申しますが、まあ、お聞きくださいまし、八歳の年の時でござりました、村の子供と大勢して遊んでおりますと、そのうちの一人が、過って井戸へ落ちてしまったのでござります、そう致しますと、子供たちのこととてみんな驚き、あわてふためいて、どうしようという気にもならないでおり