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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

「お雪ちゃん、あなた、少しお面の色が悪いようですな」

「昨晩、ちょっとね……」

「どうか致しましたか」

「ちょっと加減が悪かったものですから」

「それはいけません、お薬がございますか」

「はい、お薬もございます、幸い……」

と言ってお雪ちゃんは、お薬の次に、幸いお医者さんも――と言おうとして、急にさし控えて、

「おかげさまで、もうすっかり癒りましたから、御安心下さいまし」

「それは何よりでございます」

不破の関守氏は、そろそろと炉辺へ近寄って来て、腰をかけ、煙管を掻き出しながら心安げに話をしました――

「昨晩は、それでもまあ無事でよろしうございましたな」

こちらは、あんまり無事でもなかったのですが、関守氏の言うことをあげつらうのも、と思ってお雪ちゃんは、

「はい、おかげさまで……」

「実は、ここまで押寄せて来はしまいかと、拙者はそれを心配したものでございますからな、ロクロク寝みませんでした。それでも幸いに春照の高番あたりで、ちょっとしたボヤがあっただけで、無事に済んだのが何よりでございました」

関守氏の、無事でよかった、無事でよかったということが、お雪ちゃんにはよく受取れないのです。