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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
とお雪ちゃんは、余情を残しただけで、強いて関守氏を引きとめようとはしませんでした。
「では、さようなら」
関守氏は入って来たトンボ口の方から出て行ったが、暫くして南表広庭の方へ廻ったと見えて、そこで誰を相手にともなく、こんなことを言い出したのがよく聞えました、
「弁信さんにも困ったものでねえ、この騒ぎの中を出かけましたよ、竹生島へ御参詣だなんて言いましてね、長浜から船に乗るって言ってましたが、なにしろ時機が悪いから、もう少し動静を見定めてからにしちゃあどうだね、と忠告してみたが聞きませんね、なあーに、わたくしなんぞは不具者の一徳と致しまして、上役人様も、お百姓方も、どなた様もお目こぼしをして下さいますから御方便なものでございます、竹生島の弁財天へはかねての誓願でございまして、数えてみまするとちょうど月まわりもよろしうございますから、これから出かけてまいります――と例の調子で、留めるのも聞かずに出て行きましたぜ。なるほど、あれで琵琶を本業としていますと、弁財天は親神様のようなものですから、あの坊さんとして行きたいのは当然でしょう。弱々しいくせに剛情なものです。