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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
いちいち謡曲まがいのせりふで、がっそう頭に鉢巻をすると、いまにも浮かれて踊り足を踏み出そうとする気構え、こいつも相当に茶人だと一座も興に入りました。
そうして舟は湖面を辷り出して、瀬田、石山の方へと進み行くのであります。
五十三
こうしてお角の遊山舟が、さんざめかして湖上遥かに乗り出した時分に、あわただしくその舟着へ押しかけた一団の者がありました。
その連中を見ると、野侍のようなものもあり、安直な長脇差もあれば、三下のぶしょく渡世もあり――相撲上りもあり、三ぴんもあり、いずれも血眼になってここへなだれ込んで、そうして、
「どうした、お角という阿魔はどこへうせた!」
「や、一足遅かった! あれだ、あの遊山舟で乗り出したあれがお角に違えねえ!」
「もう一足早かりせば」
「あんたはん、どないに致しやしょう、相手はお尻に帆かけて逃げやんした、どないに致しやんしょう、ちゃあ」
彼等はとりあえず、岸に立って、遥かに乗り出して行くお角の遊山舟を見渡しながら、土佐の卜伝に置きざりを食った剣術高慢のさむらいのように、地団駄を踏んで歯噛みをする事の体が尋常ではありません。