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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
「そうです、この人たちに万事は頼んであります、こちらから、お金を持って行って、そうして、あちらで、そのお金を、ここの土地で使えるお金と取替えて来るだけの仕事なのです。ですけれども、なにしろお金のことだから、誰かしっかりした連れがあって欲しいと言いますから、そこで、友さんのことを考えつきました、用心に行ってやって下さいな」
「ああ、ああ、どっちへ廻ってもおいらは、用心棒に使われるように出来てるんだ――」
と米友は、やけのように言ったが、自ら軽蔑しているわけでもなく、頼まれることを拒絶するわけでもなく、鍬を取り上げて、傍えの小流れのところへ行って手を洗い、そのついでに、ブルブルと面を二つばかり水で押撫で、それから腰にたばさんだ手拭を抜き取って無雑作に拭き立ててしまうと、もうそれで外行の仕度万端が整ったのです。
一頭の駄馬を中にして、一人の馬子と、馬わきの手代風なのと、それに宇治山田の米友(例の杖槍は附物)が前後して、この一文字道を長浜街道の方へ行く。その後ろ姿をお銀様は、米友が今まで掘り起していた木の株根の傍に立ち尽して遠く遠く見送っておりました。
右の一行が山林叢沢の蔭に見えなくなってしまうと、広い荒野原の開墾地に、お銀様ひとりだけの姿です。