輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

「いいえ、そういうわけじゃありません、わたしの耳に鈴慕の音が聞えて、こちらへこちらへと導くものですから、その音色を伝って来ると、ついつい不破の関まで来てしまったのです」

「あら――あんなこと言って。弁信さんという人も、人を揶揄います、こんな人の悪い方じゃないと思いました」

「いいえ、わたしは、あなたをからかいは致しませんし、また別段、あなたに対して人の悪い行いをしたとも思いません」

お雪ちゃんは、いよいよ弁信の答弁ぶりに平らかではありません。

「弁信さんのなさることは、弁信さんだけの世界にはよくおわかりなのでしょうが、わたしは短笛の音色だけを聞き、その笛の管の燃えさしだけを見るために来たのではありません、あなたと二人、裸はだし同様で美濃の国から飛んで来ました。いま思えばどうして、こんなかよわい二人だけで、あの旅ができたのか夢の様に思われるばかりです。それほどの思いをして来たのに、来て見れば、その遠音を聞かせただけの思わせぶりで……万事をうやむやにしている弁信さんのズルイのを怨むのは、怨む方が無理なんでしょうか」

「ですからね、お雪ちゃん、あなたも、わたしも、鈴慕の音色にあこがれて来たのだということは、今もクドクドと申した通りなのです。