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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

ほど経て――のっしのっしとこの峠の上へ、無論高山とは反対の側、白山道の方からです――身を現わした最初の一人は、まごうかたなき仏頂寺弥助――やや後れてそれにつづく丸山勇仙。

「たしかにここで人声がしていたよ、来て見ると誰もいない」

「そうそう、たしかに女の声でうたをうたっていた、しかも甚だいい声で唄っていたに相違ない」

「それを楽しみに来て見ると、どうだ、誰もいない」

「では、あちらの下りに向いたかな」

「いいんや――うたがぽつりと消えたのが心外じゃ、あれだけに意気込んで唄っていたのだから――向うへ下るにしても余韻というものが残らなければならない」

「それは、ぽつりとやんで跡形もないのだから、こいつ、我々の来ることを知って、怖れをなして隠れたな」

「或いはそうかも知れん」

「しかし、いい声であったよ」

「声だけ聞いていると、まさに惚々したいい声であったが……姿を見ると案外の代物、後弁天前不動という例も多いことだから、むしろ見ない方が我々の幸福であったかも知れない」

「だが、それにしても心残り千万、声のいい奴が、きっと姿が醜いときまったわけのものじゃない、ことに……」