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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

彼は、特に師団長のお目に留まったことを光栄ともし、よろこびともして、晩飯が済むと逸早く押しかけて来たものです。

「君は蘭学をやっているのかね」

昼のつづきで、青嵐居士が会話のきっかけを作って青年に与えると、青年は、

「いや、あれは蘭学ではないのです、英学なんです。蘭学はもう古い、将来は英学をやらなければならないと言われたものですから……」

と申しわけをしました。

「そうか、英学だったかね、見せ給え、もう一ぺん、あの本を」

青嵐居士が、青年のふところを見込んでこう言いますと、青年が、

「これでございますか」

またしても、青年はふところから、日中ころがり出たところの部厚な小冊子を再び取り出して、青嵐居士の前へ提出しました。

してみると、この青年は、昼夜離さず、右の小冊子をふところにしているらしい。青嵐居士もそう気取ったから、そこで、再提出を求めたものに相違ない。つまり、蘭学か、英学か、そこまでは見究めなかったけれども、たしかに外国語の辞書であることは、青嵐居士が最初から認めたところのものでありました。

辞書というものは、語学生はふところから放さないものである。