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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

そこへ、ひょっこりと姿を現わして、

「やあ諸君、おそろいだな」

と、抜からぬ面で言いかけたのが、斎藤一でありました。

五十一

「斎藤が帰って来たぞ」

「一人で帰って来たぞ」

「隊長はどうした」

その詰問に斎藤が騒がぬ体で答える、

「隊長は今そこまで来ている、僕は別に人を一人つれて、一足先に帰って来たよ」

「別な人とは誰だ」

「そこにいるよ」

「どこに」

「そこに」

「誰もいないではないか」

「いるよ、たった一人、そこに立っているのが見えないか」

「見えない――」

「幽霊ではないか」

「戯談を言うな、机竜之助だぞ」

「机竜之助がどうしたというのだ」

そこで、一同が水をかけられたような気分になったが、それもホンの通り魔、我にかえって見ると、斎藤一もいなければ、机竜之助なるものもいない。

二人は簡単なあいさつだけで、早くも奥の間に向って消えてなくなったものでしょう。

これに芸術談の腰を折られた一同は、思い出したように、

「隊長の帰りが遅いではないか」

これが、彼等の本来の不安であったが、その不安な気分を紛らわす間に、話の興が副産の芸術談に咲いてしまったのを、また取戻したという形です。