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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
と言ったきりで、明るいとも、暗いとも、夢に似ているとも、現実に近いとも、あえて肯否のいずれをも言明いたしません。やや暫く、足の方は小止みもないのにかかわらず、言葉がつづかない。
「はい」と言った応唱一声で、あとが続かない。この法師としては、また極めてめずらしいことです。本来ならば、沈黙は沈黙として、ひとたび舌根が動き出して、言説の堤が切れた以上は、のべつ幕なし、長江千里、まくし立て、おどし立て、流し立て、それは怖るべき広長舌を弄するこのお喋り坊主が、ただ、「はい」だけで食いとまったことこそ、今までの中での最大驚異に価する。本文通り、乙者から言説のきっかけを投げられたが最後、「明るい晩と申しましても、夜は夜でございます、人の世そのものが、無明長夜の眠りでございまして、迷途覚路夢中行と、道元禅師も仰せになりました……」なんぞときめ出されようものならば、富楼郷といえども辟易する。それを今晩に限って更にせずして、ただ「はい」だけで納まるというのが、甚だ異例を極めているのであります。
それにも拘らず、米友は重ねて言いました、
「弁信さん、おいらは京都を見るのは、はじめてなんだぜ」