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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

という一種異様な合唱があって、

「あら、怖いわ、早く燈をつけてよう」

「怖いわ」

「あら、村正の奴、いたずらをしたんだわ」

「卑怯な奴、暗いもんだから」

「あら、村正が逃げるわよ」

「逃げ出したわよ」

「逃がすものか」

「捕虜の奴、逃がすものか」

暗に乗じて、捕虜が逃走を企てたことは確実で、それを気取った一同は、同じく暗の中を手さぐりで、捕虜を追いかけると同時に、この室を退散。

そうして、最初に計画を立てた明るい広間の中に乱軍が引上げて見ると、村正どんは、もうすました面で床柱にもたれて、長煙管でヤニさがっている。

二十八

燈の不意に消えたことは、乱軍の休戦ラッパとなり、同時にまた、あの強もてのような、変な空気ではじめた余興の見事な引上げぶりに終りました。

いい汐合いに引上げたものだ、まさに甲賀流の極意! 村正どんは床の間へ帰って、長煙管でヤニさがって、それから腮を撫でていると、あとからあとからと、創痍満身の姿で聯合軍が引上げて来る。そのあとから仲どんが、衣裳と帯とを揃えて持って来る。

みんな疲れ果てて、もう愚痴も我慢も出ない。せいせいと息をきって、眼を見合わせて、息をついているばかりだが、それでも皆、昂奮しきって、愉快な色が面に現われている。