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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
「えッ」
少々仰山な驚きかたをして見せたが、それ以上、火花も散らず、ともかくも、形は送りつ送られつの形で、道はようやく木津屋橋まで差しかかった時分、
「いったい、お宿もとはどちら様でござんしたかなあ――どちら様へお越し?」
送り狼もどきの頬かむりが、改めてここでお宿もと、お宿もととつきとめにかかるのが、うさんで、しつこく、からむようにも聞きなされるが、前のはいっこう平気で、
「こちらの宿もとをたずねるより、お前の方で名乗るがいい、何のなにがしと名乗ってみろ」
「何のなにがしと名乗るような、気の利いた奴ではございませんが、轟の源松と申しまして、東路から渡り渡って、この里に追廻しの役どころを、つとめておりまする」
轟の源松、聞いたような名だ。おお、それそれ、御老中差廻しの手利きだと言った、長浜の町で、宇治山田の米友を捕り上げた男。あれが、やがて、農奴として曝しにかかって、草津の追分につながれた時分、往来の道俗の中から、がんりきの百を見出して、こいつ怪しいと捉まえにかかったが、それは片腕のないためと、両足の有り過ぎるために、おぞくも取逃した、あの有名な捕方の名に相違ない。