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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
「では」
轟の源松が、いいかげんテレきった表情を見て、長身の人が、ついに決然と最後の決答を与えました、
「高台寺の月心院へ届けてくれ」
「高台寺の月心院、心得ました」
ここで、無目的の目的が出来た。指して行くあたりの壺がすっかりついたのだから、源松も勇みをなして、再び提灯に火を入れようとする途端に、何か物の気に感得してしまいました。
こういうやからは、道によって敏感である。まして送り狼の役をつとめてみると、送る方も、送られる方も、あやまてば食われるのだから、寸分も神経の休養が許されない。
轟の源松は再び提灯の火を入れようとして、何かの物の気に感じて、三条橋の上から、鴨川の河原の右の方、つまり下流の方の河原をずっと見込みました。
前に言う通り、残んの月夜のことですから、川霧の立てこむる鴨川の河原が絵のように見えます。その河原の中を走る二筋のせせらぎを、今、徒渉りしている物影を、この橋の上から認めたからであります。
三十二
橋の上からは、物の二町とは隔らない川下を、かち渡りしている二つの人影は、ここから見当をつけても、そう危険性なものではないらしい。