輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

「あ、旦那、済みませんが、少しの間、ここに待って、ここに待っていていただくわけには参りますまいか――ちょっと見届けて参るものがございます」

と言って、送りの客を顧みましたが、この時、提灯は抛り出してしまって、懐ろへ手を差し入れたのは、火打道具を取り出さんがためではありません――一張の捕縄です。

その時の源松の気勢は、変っておりました。職務の遂行のためには死をだも辞せずという、一種の張りきった気合が充ち満ちたかと見ると、件の長身覆面の客から物の三間ばかり離れて、橋板の上へ飛びのいて、足踏み締めて、身を沈めて、捕縄の一端を口に銜えて、見得をきってしごいたのは、かの長浜の一夜で、米友に向って施したのとまさに同じ仕草です。

だが、今晩のは、捕手の中心がよく定まらないようです。ここで、自分の送り狼を捕ろうとするのか、或いはまた、一旦は天下御免の遊民と見て安心した下流の川渡りに、再吟味するまでもなく、なんらかの不安を感じたために、それを捕りに行くための身構えか、二つの目標が同時に現われたものですから、源松の着眼が乱視的で、これだけの仕草ではよくわからないのです。