輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

全く今宵に限って、なんて世界がこんなに面白いだろう。同じ酔ったにしても、昨晩はこんなことはなかった。ゆくりなく島原の角屋の御簾の間の昔に返って、あそこへ寝てみたが、べつだん面白い夢は見ないで、悪ふざけの実演を見たのか、見せられたのか、最後にいささか溜飲を下げることではあったが、決して、面白かったとは言えないのだ。

それが今晩は面白い。出て行くまでは、そんなではなかったのに、帰りに向って宙を飛ぶ時から面白くなった。いや、松原通りでひっかけたおでんかん酒の利き目が、ここまで来て発したところへ茶碗酒の迎えが、めっぽう利いた。こうも面白おかしい気分のところへ、誂えもしないのに音楽の合奏と、頼みもせぬに映画の上演とがあって興を添えてくれる。

なんだか面白くてたまらない竜之助の脳底へ、音楽と、映画とから、いろいろの想像が続々と湧いて来る。いま盛んに実演中の二人の泣き声が、いつしか、近江の、大津の宿のお豊と真三郎の姿を浮き上らせて来る。その真白い手は、僧の形に姿を変えた真三郎が、しきりに焦って伸ばす手だ――届かない、お豊が助けて抱き上げて、背たけのつぎ足しをしてみたが、それでも届かない。