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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

その上に、連理の交わりだなんて洒落た文句も覚えている。あの堂の婆あめ、その艶物語を語る口に肉声を帯びていたのは怪しからぬ、恋と無常を語り聞かす枯れきった声ではない、あれではまだ相当の年だ、四十かな、三十代は過ぎてるらしいが、五十の声はかからないぞ。おれが一人、さまよい込んだので、彼女も異様に昂奮したか、頼みもせぬに、その重清と朝霧の恋物語を、からくりの口上もどきで、面白おかしく語り聞かせたが、さあ、それから二人の身の上はどうなったかといえば、左様、二人の仲を、重清の父が見て、これを危ぶんだ――というのは、相手がやんごとなきあたりの官女では、悴の行末が思われたからだろう。そこで、体よく悴を口説いて、別に似合わしい縁辺を求めて、八重姫――お八重ちゃんという娘を、これに娶わせたのは、親としてしかるべき心づかいだ。且つまた、なさねばならぬ義務を果したのだ。そこで、それがそのまま、市が栄えれば何のことはないが、恋愛というものは生死なんだ、失うか、得るかよりほかには、妥協というものが利かないんだから、やりきれない。父の定めた伉儷が成立してみれば、自分の作った恋愛はあきらめなければならぬ、それをあきらめると、当然一人の犠牲者を出さなけりゃならぬ、この場合の失恋者が、とりも直さず官女の朝霧なのだ。