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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

二人が穴馬谷へ落ち込んだということは、この場合、ざまあみやがれ! ということにはならないのであります。イヤに即かず離れずの曲芸気取り、その落ち込む当然の運命はきまったものだ、好奇の一歩手前は、堕落の陥穽というものだ、ドチラが先に落ちたか、後に落ちたか、ドチラがどう引摺ったか、引摺られたか、それは言いわけを聞く必要がない、おそかれ早かれ、当然落ち込むべき運命の谷へ落ち込んだまでのことだ、ザマあ見やがれ穴馬谷、と称すべき意味合いの皮肉の地名ではないので、事実、越前の国、穴馬谷の名は、れっきとして存在した――今も存在する確実な地名でありまして、後年の測量部の地図にも、地名辞書にも、明瞭に記載された地名でもあり、且つや、谷というけれども、若干の人家が炊烟を揚げている尋常一様の山間の一部落なのであります。

その穴馬谷へ二人が落ち込んだというのも、足を踏み外して落ち込んだわけではない、青天白日の下、尋常の足どりをもって、この一部落に落着いたという意味でありまして、ここで二人が、また前巻以来同様の宿泊ぶりを、一部落の一民家によって繰返しました。福松が破れ傘のような素振りで、絶えず兵馬を誘惑したり、からかったりしていることも以前と変らず、それを兵馬が閑々として、一個の行路底の修行道として受流しつつ行くことも前と変りませ