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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

それを今ここへ来て見て、はじめてそう感づいたのでありました。

「それでは、ゆっくりお話しなさいまし。お玉坊、ここは誰も来る人もなし聞く人もないから心配をしずに、よくお話し申して、お金を失くしたお詫びを申し上げるがいい、わしは家へ帰って、いいかげんの時分に迎えに来るから」

「親方さん、一緒にいて下さい」

お玉は与兵衛に縋りつきたいと思いました。たださえしんしんとして怖くてたまらないところへ、見も知りもしない人と一緒に、どうして置放しにされていられるものか、

「ああ、わたしは帰りましょう、外へ出てしまいましょう」

「何も怖がることはないというのに」

与兵衛はかえってお玉の縋るのを突き放すように先へ出て、扉をハタと締め切って、自分だけさっさと出て行ってしまいます。

お玉は取付く島がない。やっと落着いてみれば、悪気でここへ連れて来る与兵衛親方ではないし、ここにいる人だって、なにも自分を取って食おうというのでもないのだから、怖ろしいうちにもまたそこへ腰をかけてしまいました。

知れない人は、まだ俯向いて眼を洗っていましたが、そのうちにふいとお玉の眼に触れたものは、敷物の傍に置かれた大小の腰の物でありました。