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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁
お豊がこうして帳場へ納まっているからには、もう相場がきまったものと見てよろしい――お豊は帳合をしてしまうと、行燈の火影に疲れた眼をやって、ホッと息をつきましたが、すぐにまた帳場のわきへ置いた人相書に眼がつきます。さきの役人が置いて行った人相書――もし、これに似た客が来たら遠慮なく申し出でろ、人違いでも咎めはないが、届けを怠ると重い罪だと厳しく申し渡されたものであります。ざっと見て捨てておいたのを、仕事が済んで、また取り上げて、はじめから読んでみます。
「年齢三十三四――
痩形の方、身の丈尋常、
顔色蒼白く、
鼻筋通り、
眼は長く切れて……白き光あり……」
お豊はハッとしたのでありましたが、
「甲源一刀流の達人――」
「あ!」
人相書を持った手が顫えたようでしたが、さきに飛ばして読んだ名前のところへ、ひたと眼が舞いもどる。
「元新撰組――机竜之助」
机竜之助……これでよかった。違う。しかし気にかかるは竜という文字……お豊の胸には急に熱鉄が流れるのでありました。
また犬が吠えて、この家の前で足音が止まる。
いま締めたばかりの表の戸をトントンと叩いて、
「もしもし、室町屋さん」