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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁
「四十文でよろしゅうございます」
「ここへ置くよ」
同じく百文ばかりの金を投げ出してこの男が出たのは、七兵衛がもう薩※(「土へん+垂」、第3水準1-15-51)峠の上りにかかろうとする時分でありました。
幸いに晴れていて、富士も見えれば愛鷹も見える。伊豆の岬、三保の松原、手に取るようでありますが、七兵衛は海道第一の景色にも頓着なく、例の早足で、すっすと風を切って上って行く。
七兵衛をやり過ごして、同じ栄螺の壺焼屋から出た旅の男は、これもすっすと風を切って上って行く。七兵衛も足が早いがこの男も足が早い。みるみる七兵衛に追いついてしまいました。
「どうも結構なお天気でよろしゅうございますな」
お愛想を言って、つと七兵衛を通り抜いてしまう。
「へえ、よいお天気で……」
と七兵衛は返事をしたものの、さっさと自分を抜いて行く銀ごしらえの男の歩きぶりを見ると癪に触りました。この俺を抜いて歩く奴、小面の憎い振舞をしたものかな、よしそれならばこっちにも了簡があると、七兵衛は足に速力を加えて歩くと、見るまにまた銀ごしらえの脇差を追い抜いてしまいます。
「どうもお天気がようがすな」