輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

「うむ、よくない、だんだん悪くなるようじゃ」

机竜之助は、肱を枕に、破れた畳の上に身を横たえて、傍には両刀を置いて、こう答えたが、燭台の光で見ると、例の蒼白い面がいっそう蒼白く、両眼は閉じて――左の眼のふちにはうっすらと痣がある。

「それはいかん、滝の水で洗うて来たか」

修験者は言う。竜之助は答えて、

「さいぜん、滝まで下って行った、どうやら人がいるようだから、やめにして帰って来た」

「ナニ、人がいた? 滝に人がいたか」

「うむ、一人の女が滝を浴びていた」

「女が? 滝を?」

修験者は言葉をきって、何やら考えているようです。

「修験者殿、雨が降って来たようじゃな」

「左様、雨じゃ」

「なんとなく、木の葉も騒ぐようだ、風も出て来たと見ゆるわ」

「おお、風も出て来た」

しばらく静かであって、室外はポツリポツリと雨の音がする、サーッと風の騒ぐ音もする。

「さて、修験者殿……」

竜之助は、やや改まった声で、

「いつまでもこうして御厄介になってはおられぬ、拙者は立退こうと思う」

「待て待て、その眼を充分に癒してからにするがよいぞ」

「治るかよ、この眼が」

「治る、信心一つじゃ」

「うむ――」