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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁
間の山節が始まる前に、この一間で墨をすり流して、巻紙をもうかなり長く使って、文を認めていた女。
古市の遊女は、勝山髷に裲襠というような派手なことをしなかった、素人風の地味な扮装でいたから、女によっては、それのうつりが非常によく、白ゆもじの年増に、年下の男が命を打込むまでに恋をしたというような話も往々あることでした。
ここにいま文を書いている女も、病に悩む女でありましたが、素人風がこうしているとまでに取れないほど、それほど女の人柄をよく見せるのでありました。
朱塗りの角行燈の下で、筆を走らせては、また引止め、そうして時々は泣いている。そこへ前の、
夕べあしたの鐘の声
寂滅為楽と響けども
聞いて驚く人もなし
書きさしていた筆をハラリと落して、じっと耳を澄ましていると、お玉の弾きなす合の手が綾になって流れ散る。
花は散りても春は咲く
鳥は古巣へ帰れども
行きて帰らぬ死出の旅
と来たものです。
「ああ、間の山節が聞える、死にたい死にたい、いっそ死んでしまおうかしら」
ついと立って障子の破れから庭をのぞいて見たが、身の幅ほどにそれをあけて下を見おろすと、植込の間から、かがやくばかりなる提灯燭台の広間と、うすぼんやりの燈籠の庭では前に記したような光景であります。